消費者意識の目覚め
1920年代までのアメリカの経済成長は、長期間にわたっていました。
それだけに、保守性が大衆の間にまで広く浸潤していたのです。
しかし、半面では保守性とともに革新を求める気運が二重写しされていたことも否定できません。
これを大衆文化としてわれわれが受けとめる場合、どのような変化が1930年代に見られたでしょうか。
その顕著なあらわれは、大量消費経済の発展です。
経済学者ロストウも、歴史的にみて1920年代にその条件が出そろったとしています。
フォードがつくり出したモータリゼーションは、その代表でしょう。
社会学者のレオ・ロウエンタールはこのような変化を取り上げた最初の1人だといわれますが、彼は1930年代にアメリカ国民の間に「生産者意識から消費者意識への転換」があったことを指摘しています。
これまで生産のアイドルは勤労でしたが、消費のアイドルとしては余暇が重要視されてきたのです。
また、以前人気のあった伝記も、主人公は実業家や政治家が退場して、べーブ・ルースやチャップリンといった大衆娯楽の人気者がそれに代わりました。
その場合に選択される価値基準は、主人公が「時と場所を得たこと」、「いい人にめぐりあったこと」、「物事を見る目があったこと」、「容姿がすぐれていること」、「肉体的に驚異的なものを持っていること」などでした。