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2010年07月 アーカイブ

消費者意識の目覚め

1920年代までのアメリカの経済成長は、長期間にわたっていました。


それだけに、保守性が大衆の間にまで広く浸潤していたのです。


しかし、半面では保守性とともに革新を求める気運が二重写しされていたことも否定できません。


これを大衆文化としてわれわれが受けとめる場合、どのような変化が1930年代に見られたでしょうか。


その顕著なあらわれは、大量消費経済の発展です。


経済学者ロストウも、歴史的にみて1920年代にその条件が出そろったとしています。


フォードがつくり出したモータリゼーションは、その代表でしょう。


社会学者のレオ・ロウエンタールはこのような変化を取り上げた最初の1人だといわれますが、彼は1930年代にアメリカ国民の間に「生産者意識から消費者意識への転換」があったことを指摘しています。


これまで生産のアイドルは勤労でしたが、消費のアイドルとしては余暇が重要視されてきたのです。


また、以前人気のあった伝記も、主人公は実業家や政治家が退場して、べーブ・ルースやチャップリンといった大衆娯楽の人気者がそれに代わりました。


その場合に選択される価値基準は、主人公が「時と場所を得たこと」、「いい人にめぐりあったこと」、「物事を見る目があったこと」、「容姿がすぐれていること」、「肉体的に驚異的なものを持っていること」などでした。

消費者意識の目覚め 2

1933年から34年にかけてベストセラーとなった『人生は40から』(ウォルター・ピトキン著)という本では、現在は「まさにこの瞬間の支配的欲望を首尾よく」達成するときだと書かれています。


ギャング映画の主人公たちは自ら機関銃の乱射の的となって、立身出世物語の終焉を告げました。


コメディー映画のマルクス兄弟のグルーチョは、中産階級の意識や生活態度を鋭く風刺して人気がありました。


1938年にコミック誌に登場したスーパーマンへの人気は、「日常生活の輪郭をますます形づくるようになった制度と官僚主義に対して人ぴとが感じた、落ち着かない気持ちを象徴していたのである」。


一方で『風と共に去りぬ』のスカーレット・オハラの凛々しさに魅了された大衆は、他方ではスーパーマンやターザンに心から拍手を送ります。


大衆文化の二律背反が1930年代の社会的特質であったとすれば、そのような交錯する世界はいったい何だったのでしょう。


ルビーンはこれに対し、次のように答えています。


「・・・その世界とは、それが未来の輪郭づけをしはじめていたときですら、なお過去の方を向いていた世界であった。


また価値観の危機が、同時に経済的危機を伴っていた世界であった。


そして、徐々に累積されていったがゆえに、ほとんど感知できない変化という通常のプロセスが、長引く危機の存在によって助長され、目立つようになったという理由で、歴史家に特別の興味を抱かせる世界であった・・・」。

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